はじめに
Windows Update はセキュリティ対策に不可欠ですが、更新による不具合が業務に直結するのも事実です。
特に小規模企業や一人情シスの環境では、更新トラブルが発生すると復旧に大きな負担がかかります。
本記事では 更新トラブルを未然に防ぐためのチェックリスト をまとめました。
更新前に確認すべき互換性情報
1. Microsoft 公開情報の確認
- Windows リリースヘルス ページで既知の問題を確認
- サポートされる機能更新バージョンのライフサイクルを確認
2. ベンダー・業務アプリの互換性確認
- 会計ソフト、業務管理システム、セキュリティ製品など、主要アプリの互換性情報を事前にチェック
- 特にウイルス対策やディスク暗号化ソフトは更新失敗の原因になることがある
3. 検証環境でのテスト
- 代表端末を「検証用リング」として更新を先行適用
- ドライバーやプリンタなど周辺機器の動作確認も必須
👉 Microsoft Learn: Windows 更新プログラムの既知の問題
障害発生時に備えるロールバック手順
1. システム復元ポイント
- 更新前に手動で復元ポイントを作成
- 不具合発生時に短時間で元に戻せる
2. アンインストール手順の把握
- [設定 > 更新とセキュリティ > 更新の履歴 > 更新プログラムのアンインストール] から戻せる
- コマンドライン(
wusa /uninstall /kb:xxxxxxx
)も覚えておくと便利
3. 機能更新プログラムのロールバック
- 更新後 10 日以内 なら以前のバージョンへ復元可能
設定 > システム > 回復 > 前のバージョンの Windows に戻す
を利用- 業務停止リスクの高い端末では必ず操作手順を事前確認
4. バックアップ
- 重要データは更新前にバックアップ
- 可能であればイメージバックアップ(System Image)も取得
普段から OneDrive や SharePoint、ファイルサーバーを活用し、重要ファイルをローカルに置かない運用を心がけることが大切です。
これにより端末障害や更新失敗時でもデータ消失を防げる
ユーザー教育の一環として「ローカル保存禁止」をルール化しておくと安心
利用者への周知・影響最小化の工夫
1. 更新スケジュールの明示
- 「毎月第2水曜夜に更新」などルールを決め、利用者に周知
- 更新作業を勤務時間外に設定し、業務影響を最小化
2. 更新中の注意喚起
- 「再起動が必要」「作業保存を推奨」といった案内を事前に伝える
- ログイン時の GPO メッセージやメール周知を活用
3. トラブル時の連絡フロー
- 問題発生時の連絡先を明示(内線番号やメールアドレス)
- 一時的な回避策(別端末の利用やリモート接続など)を準備
4. 段階展開でリスク分散
- 全端末同時更新は避け、リング方式で段階的に展開
- 不具合が出た場合、影響範囲を最小化できる
👉 Microsoft Learn: Windows Update for Business の展開リング
まとめ
- 更新前に 互換性情報を確認 し、業務影響を事前に把握する
- ロールバック手順とバックアップ体制 を明確にし、OneDrive やファイルサーバーの活用を徹底する
- 利用者への周知と段階展開 により、影響範囲を最小化する
更新はセキュリティの要ですが、同時に業務へのリスクでもあります。
本記事のチェックリストを活用し、一人情シスでも安全に Windows Update を管理していきましょう。
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