前回の記事 小規模企業でも始められる Microsoft Intune の基本機能 では、Intune の全体像と登録の流れを整理しました。
今回はさらに踏み込み、具体的なポリシー適用の事例 を紹介します。
特に中小企業にありがちな「セキュリティ強化は必要だが、業務効率を落としたくない」という課題に沿って解説します。
パスワードポリシーの適用例
Windows デバイス
- 要件設定: 最低 8 桁以上、複雑性(大文字・小文字・数字・記号の組み合わせ)を必須化
- ロックアウト: 一定回数のログイン失敗でアカウントロック
- PIN 併用: Windows Hello PIN を推奨し、利便性とセキュリティを両立
iOS / Android
- デバイス暗号化を必須化
- 簡単な PIN(例: 1234)を禁止
- 生体認証の許可: 指紋や顔認証を有効化して、操作性を保ちながら強制
これにより、社外から業務アプリを利用する場合も一定のセキュリティを担保できます。
👉 詳細: Microsoft Learn – デバイス制限ポリシー
更新管理のシナリオ
Windows Update for Business
- 延期設定: 機能更新プログラムは最大 30 日遅らせる
- 業務時間の指定: 9:00〜18:00 をアクティブ時間に設定し、自動再起動を回避
- 検証用リング運用: IT 管理用 PC に先行適用 → 問題なければ一般ユーザーへ展開
iOS / Android
- 最新 OS への強制更新: 脆弱性対策のため、古いバージョンを一定期間後に利用不可とする
- 夜間配布: ネットワーク負荷や業務影響を抑えるため、更新は深夜帯に実行
小規模企業でも「全端末一斉更新による業務停止」を避けられます。
アプリ配布と利用制御の実例
業務アプリ配布
- Microsoft 365 Apps(Outlook, Teams, Excel など) を Intune 経由で一括配布
- 自社業務アプリ(業務システム用クライアント) を LOB アプリとして登録・展開
利用制御
- 禁止アプリの指定: 個人向けクラウドストレージや特定の SNS アプリを業務端末で禁止
- アプリ保護ポリシー: 業務データを Intune 管理アプリに限定し、コピー&ペーストやスクリーンショットを制御
これにより「個人スマホで Outlook を利用できるが、業務データを外部アプリへコピーできない」といった BYOD 管理が実現します。
👉 詳細: Microsoft Learn – アプリ管理ポリシー
小規模企業ならではの適用ポイント
- セキュリティと利便性のバランス
- すべての端末に強制暗号化をかける一方、PIN や生体認証を許可して使いやすさを確保
- 段階的導入
- 最初は「管理者 PC とモバイル端末」から適用し、効果を確認してから全社展開
- 外部委託しやすさ
- サーバー不要なため、運用を外部 IT ベンダーに委託してもコストを抑えやすい
中小企業の現場では「セキュリティの強化」と「社員の反発回避」の両立がカギになります。
まとめ
Microsoft Intune のポリシー適用は、小規模企業でもすぐに活用できる現実的な選択肢です。
- パスワードポリシー で不正アクセスを防止
- 更新管理 で業務停止を最小化
- アプリ配布・制御 でデータ漏洩を防止
セキュリティと利便性のバランスを意識すれば、最小限の管理リソースでも十分な運用が可能です。
👉 関連記事: Intuneコンプライアンスポリシーとセキュリティ統制の実例
👉 公式情報: Microsoft Learn – Microsoft Intune ポリシー
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