はじめに
「入れたら入れっぱなし」「誰が何を使っているか分からない」
——ライセンス管理の最大の敵は可視化不足です。
本稿では、Microsoft 365 の管理センターの使用状況データとグループ割当を軸に、コストと機能の両立を図る進め方をまとめます。
よくある落とし穴⚠️
1) 退職者・休職者のライセンス放置
- ユーザーのライセンスを外しても猶予期間の扱いやOneDrive保持の理解が曖昧だと、廃止に踏み切れない。
- 参考:割当/解除の挙動 → ユーザーにライセンスを割り当て/削除
2) E5の全社適用
- 監査・保護が必須の部門は限定的なのに“上位SKUだから安心”で横並び適用。使っていない高機能へ課金が続く。
3) アドオンの積み上がり
- 試験導入のまま更新→利用率が不明なまま惰性で継続。棚卸しの仕組みがない。
可視化:まず“使われ方”をデータで見る📊
- 管理センターの使用状況レポートで、アプリ別/プラットフォーム別の実利用を確認。
- “アプリ未使用のライセンス”を削減候補に、逆に“活用度の高い部門”へはアドオン付与を検討。
参考:使用状況レポートの見方 → アクティビティ/使用状況レポート / Microsoft 365 Apps 使用状況
配り方:グループベースでロールに合わせる🎯
- 部署/役割グループにライセンスを割当→人事異動はグループ所属だけ変える。
- 管理者ロールの最小化(グローバル/ライセンス/ユーザー管理者)で誤操作を予防。
参考:グループ割当の考え方 → 管理センターでのグループへの割当
SKU/サービスプランの理解:何に金を払っているかを把握する📦
- “E3/E5”の中身はサービスプランの集合。実際に必要なプランを把握しておくと、代替構成の検討が進む。
参考:識別子リファレンス → 製品名とサービスプラン識別子
- 契約視点も定期確認(VL 契約の可視化) → VL 契約の表示
実装の型:運用を“小さく回して”継続最適化🧭
1) 棚卸し:退職/休職/長期未使用ユーザーの洗い出し→ライセンス回収
2) 利用状況レビュー:月次でApps/Exchange/Teamsの未使用割合を確認
3) 役割別ポリシー:
- 一般社員:E3+必要最小のアドオン
- セキュリティ要件高:E5または“E3+セキュリティ系アドオン”
4) グループ割当の徹底:人事異動=所属変更だけで完了させる
5) 契約整理:使っていないアドオンは次回更新前に停止、契約条項の見直し
チェックリスト✅
- [ ] “未使用ライセンス”と“未使用アドオン”を月次で抽出
- [ ] グループ割当で配布と回収を自動化
- [ ] 役割別SKUポリシーを定め、例外は“理由付き”で記録
- [ ] 更新前に契約棚卸し(停止候補の最終確認)
- [ ] 変更はChange Logで可視化し、コスト効果を追跡
まとめ(ロードマップ)
- 可視化:使用状況レポートで“使っていないもの”を知る
- 再配分:グループ割当に統一し、ロール別に最適SKU
- 削減:未使用アドオン/二重払いの止血
- 定着:月次レビュー+Change Logで改善を継続
- 交渉:更新期に契約を見直し、必要なものにだけ払う体制へ
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